先日Twitterを見ていたら、以下の記事を見かけました。
【出版業界はもう終わっている】
https://anond.hatelabo.jp/20180320080601
私はあくまでも著者としての立場しかわからないですが、何となく自分の考えをアウトプットしたいと思ったので、自分のブログ上でまとめてみようと思った次第です。
フォロワー数が多いのに本が売れない仕組み
著者候補になりそうな方を紹介すると、必ずといっていいほど、フォロワー数は聞かれるなあと思っていたので、確かにフォロワー数が多いかどうかで売上確保をしようとする考えは多かれ少なかれあるのだと思います。
出版社(会社)の立場で考えれば、フォロワー数が多い人で原価を担保する考えを持つのは自然なことでしょう。
仮にフォロワー数25000くらいの方がいたとして、1500円前後の有料コンテンツに対するコンバージョン率を3〜4%と考えると、約1000部の売上見込みが立ちます。
事例は様々あるでしょうが、1000部の売上見込みがあれば、一般的には出版社側のリスクはかなり少なくなるのかなと思っています。
フォロワー数10000に対して300〜400部の売上見込みが立っているだけでも、個人的には会社側にとっての十分なリスク軽減になっているような気がします。
しかし見方を変えれば、会社の立場から見れば原価が担保された時点で、カジノで言えば損しない状態からのダブルアップモードに入っている状態に似ている環境なので、「まあ、たくさん売れたらラッキーだね」って感じで、「いいものつくろう」とか「頑張って売ろう」という気は起こりづらい環境になっているとも考えられるのかなと個人的には考えてます。
このラッキー本を当てるために、原価割れしない本を量産しようとする戦略は、会社経営を考えれば実際にあっても不思議ではないと思います。
フォロワー数が少なくても本が売れる要因
ただ私は、このブログを書いている現時点で、Twitterのフォロワー数は350ちょっと。とても売上見込みの立つ著者ではありません。
実際、過去にお会いした多くの編集者さんからも、「こんなに影響力のない著者、めずらしい」とか「フォロワー数全然いないのに、なんで本が売れるのか?」など、まあ容赦ない言葉をよく投げられてきました(今でもですが笑)。
まあそもそも論で、たとえばTwitterなんかだと、リスト登録などフォローしていなくても情報を見る手段があって、個人的にはフォロワー数と情報参照している人の数、読者ファン数はそれぞれ別もので、フォロワー数自体はあくまでも参考指標の一つにすぎないものだと考えているので、まったく気にしていないところはあります^^;
話を戻して、もちろん元々活字嫌いだったところから速読日本一までなったことで、できない人の感覚を持ちながら説明ができる点では優位性があると思いますが、それだけで重版率7割5分という結果にはならないと思います。
※一般的に重版率は2割、ここ最近だと1割未満というお話しを聞きましたが、大体そのくらいの水準らしいです。
※私の場合、これまでの本の初版部数は5000〜10000部の間と、一般的によく言われる範囲内だと思いますので、「初版部数を極端に少なくして、重版かかりやすくする」みたいな事にはなってないと思います。
この事実結果について、その要因は様々あると思いますが、一つ挙げると「編集者さんに恵まれてきた」ことだと私は考えています。
どの編集者さんも、過去作を含めて「ありそうでない本」、「できるかどうかわからない本」を作ろうと考えて下さるおかげで、本それぞれの立ち位置が被ることなく、似たような本を量産せずに済んでいることはとても大きいと思っています。
シリーズものは確かに表面上似たような本にせざるを得ない側面はありますが、たとえばパッと見は「速読ドリルシリーズ」と認識されるものでも、それぞれに対しての位置付けはあって、それに応じた問題構成にしている等、いろいろと考えて作らせて頂いております。
逆に、「売れている本の類似本を作って、確実にそこそこ売れる本が作れればいい」と考えている(と思われる)編集者さんは、たいてい一度コンタクトがあって、それ以降こちらから連絡しても全く無視状態となっているのが現状。。。
特に「速読ドリル」がすごく売れ伸びていた時期にこの経験、いっぱいしました。
結果的には、「できるかどうかわからない」けどとりあえずやってみようといった、「時間がかかってもいいのでいい本をつくろう」とする編集者さんだけが周りにいる状態となっていました。
そう考えると、本を作る作らない関係なく、ずっと連絡を取り続けることができる編集者さんは、いい編集者さんなのかもしれません。
勘違いしないでほしいのは、いい編集者とは、自分にはない考えや感覚を持っていて、それを補完してくれるような存在であって、自分の意見をホイホイと通してくれる存在ではないということです。
言い回しの方法は様々ですが、つまりは基本的に自分を否定する存在になるので、自分にとってストレスのない言い回しで直言してくれる編集者さんだと良いのかなと思います^^
(たぶん)売れる本の特徴を著者目線で考えてみた
そんな編集者さんと共に本を作った後、自分の本を自分で最終的に読み返しているときに、「この本を自分一人で書けただろうか?」と振り返ると、どの本も答えはNOとしか思い浮かばないのです。
なぜNOしか思い浮かばないかというと、基本的に自分の執筆した原稿文章が、そのまま本になることがまずないからです。
もちろんノウハウやメソッド、考え方などに対して編集者さんがNOということはありません(そこにNOと言えるのであれば、編集者さんが著者になれば?ということになるので)。
言葉の表現や文章構造など、その伝え方に対して、徹底的にNOを出されるのです。
※僕が今まで出した本は、ライターさんが入ったこと一度もなく、すべて自分で書いてきたので、そういう意味では少し特殊な部類なのかもしれません・・・。
本の場合、読者さんは著者に対して、基本的に質問することができません。
今はSNSを使えばできるようになっている側面もありますが、みんながみんなSNSをやっているわけではないのも事実です。
質問が出ないように書き落とすために、編集者さんは読者さんの代表役になりきって、読者目線での指摘を徹底的にしてくださいます。
特に私が関わってきた編集者さんは、皆さん厳しい目を持っていて、対面で徹底的にdisられるわけですので、それはそれは精神的に辛いです笑
ただ実際のところ、私の本に限っていえば、売れている本ほど編集者さんからの否定を数多く受けています。
逆に著者のワガママな意見ほど裏目に出るという経験も数多くしてきたので、今では自分が思ったことの逆張りで進めたらいい結果になる、と本気で思っているところがあります。
たとえば『速読ドリル』という本があるのですが、このタイトル、個人的には「ドリル=学校の宿題」のイメージがあったので嫌だなあ…と思っていたら、多くの読者さんからは「気軽さがあっていい」、「自分にもできそうと思わせる感じがある」などの好評価。
さらにこの速読ドリル、仕様は完全にトレーニング本となるので、トレーニングのことを考えたら判型は大きくするべきだと思ったのですが、むしろ真逆を行くように通常よりも小さい判型でつくることとなり、「それ、ダメでしょう…」と思っていたら、多くの読者さんからは「気軽に手に取れる」といった好評価。
そして、速読ドリルは10万部超えのベストセラーとなりました。
以降、私はノウハウやメソッドに関する専門領域以外のことに口出ししちゃダメだと思うようになりました><
そんな経験と結果を踏まえると、著者の我は出しつつも、編集者さんの否定をすべて受け入れた本は、売れる可能性の高い(多くの読者さんが求めている)本になるのかなと私は考えています。
著者になる人って、先生的な立場の方が多く、そうした方が編集者さん(他者)の否定を受け入れるのは心理的に難易度高い気もしますが、否定されているのは「伝え方」の部分だと割り切って考えれば、心理的なハードルはだいぶ下がるのかな…と思います。
私の場合は、自分が先生という感覚がなく、いつもプレイヤー感覚でいることもあるのかもしれませんが、若造な雰囲気で見られることが多くて先生的な見方をされることがまずないので、その点では編集者さんは私相手だとダメ出ししやすい雰囲気があるのかもしれませんね^^;
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