集中力を上げて維持する方法は○○○の細分化にコツがある

前回前々回と、想像以上に参考になっているとのご感想を頂いている事もありまして、引き続き、1冊本の紹介をしたいと思います。

今回、紹介する本は「脳にまかせる超集中術」という本です。

とある知人の方から頂いたのですが、著者の方は記憶術の全日本選手権で4回も日本一の座を獲得されている、記憶の道を極めている方になります。

  
  
元々私はあまり記憶を重視していないところがあったのですが、前作の「脳にまかせる勉強法」を拝読させて頂いた時、以下の一文が私の中ではすごく印象に残っていました。

見たものをそのまま写真のように記憶したり、初めて聞く音楽を一度で覚えたりすることが記憶術だと思い込んでいたのです。
しかし実際はそうではなく、記憶したいものがあるとして、それを脳にとっていかに覚えやすい形に加工するかという作業が記憶術だ
(引用:脳にまかせる勉強法より)

私もまさに全く同じことを思っていたので、この一冊で記憶に対する考え方が、私の中では良い意味で大きく変わりました。
  
  
ただ、それ以上に私が気になっていたのは日本一の座を何度も獲得されている点です。

これは何も記憶術の大会に限らず、スポーツなどの大会でも同じことが言えると思いますが、大会に参加している時というのは基本的に緊張感やプレッシャーに襲われて、普段の平常心を保ち、冷静に一点集中するのがとても難しい状態になります。

そんな状態になりやすい中で、何回も1位が取れるだけの集中力をどのように生み出しているのかという点は、初めて著者さんを知った時から、かなり興味があったところでした。本にしてくれた出版社さん、ありがとうございます!って感じでしたね^^
  
  

フローに入りやすい体質

フローというのは「時間が経つのを忘れる位、物事に没頭していて、最大の集中力を発揮している状態」のことです。その状態に自分を持っていくためのやり方が本の中では書かれているのですが、やり方のベースとして、ハーバード・ベンソン博士の考え方を参考にされています。

博士の考え方によると、フロー状態に入るためには、「苦闘」そして「解放」という2つの段階を経る必要があるそうです。

「苦闘」というのは緊張感やプレッシャーのことで、つまりフロー状態に入るためには入り口の段階で、程々の緊張状態が必要なのだそうです。

そしてそのストレスがかかっている状態から緊張感を解放し、リラックス状態を作る事で、フロー状態に入ることができる、という考え方になります。
  
  
私の場合は、基本的に不安感や緊張感にいつも支配されてしまう感じになるので、とにかくリラックスする事にしか意識が向いていませんでしたが、その緊張感は集中力を発揮するために必要なものだったんだな…ということが、とても参考になりつつ、とても興味深く思いました。

ちなみに私が大会や検定、試験を受ける時などによくやっていたのは、不安感や緊張感のイメージを外に吹き出すように「フーッ」と息を吐いてから、問題を解き初めるようにしていました。程よくリラックスした感じになり、「なるようにしかならない」といった感覚に自然と入る事ができ、周りの事が全く気にならない状態で問題に集中できる感じがあったのでやっていたのですが、感覚的にやっていたこの事は、案外理にかなっていたのかな…と思いました。

もちろん本の中では、私のこのような感覚的なやり方ではなく、きちんと体系化されたメソッドが具体的に説明されているので、間違いなく参考になると思います。

タスクは細かい単位で分けて考える

本を通して読んでいく中で、集中力を最大化するために必要な、一つの本質的な軸なのかな…と思った事に、日々抱えているタスク(作業)を細かく分けることがあるのかな…と思いました。

例えば本の中で、「ザイガルニック効果」が挙げられていて、これはまだ途中の作業や完了していないミッションがあると、その事がずっと気になってしまう現象の事を指しています。

つまり、この効果が働いている状態だと、集中したい事があっても、他の事に気を取られてしまう状態になるので、タスクをなるべく細分化して、小さなゴールをたくさん設定して、自分の中で区切りのいいところで「終わった」と思える状態が作れると、気になって集中力が散漫にならずに済む、といった考え方が述べられています。
  
  
また、試験問題を解く時の時間管理の話で見かけることが多い「初頭努力、終末努力」についても触れられています。この「初頭努力、終末努力」とは、何かの作業を行うときの集中力は、始めと終わりが特に強くなることが知られており、その現象の事を心理学ではこのように呼んでいます。

例えば試験時間が60分あって、問題を60分で1回解いたとすると、初頭努力と終末努力は1回訪れることになります。これを20分で3回解いたとすると、初頭努力と終末努力は3回訪れることになるのです。このようにして集中力が高まる回数を増やすことで、試験時間内の集中力を維持する、といった感じです。

つまり、時間を細分化することによって集中力を高める事ができるという話になりますが、時間とタスクは関連のあるものになりますので、見方を変えれば、タスクを細分化する事に繋がるのかな…と思いました。
  
  
そして、タスクの細分化については、一人一人がどんな仕事や課題を持っているかは様々で、おそらく「これをやればOK」みたいな具体的なテクニックでどうこうなるものではないので、日頃からこの点に意識を向けておくことによって、集中力を高めやすい環境が作れるようになるのだと思った次第です。

最後に個人的所感

全体観としては各メソッド、どれも具体的なやり方が提示されている感じです。呼吸法や音、食事、睡眠などなど、かなり多岐にわたって触れられていますが、各項目、要点が絞り出されて書かれているので、読んでいて重たい感じはないので、「集中力がない…」と悩まれている人でも、集中力が切れる前に全部きちんと読み切れるのではないかと思います。
  
  
個人的には、結構無意識でやっていたことが、意外と集中力アップに繋がっていることが知れたのは大きかったです。

例えば著者の方は記憶競技での敗戦から、メンタル力を上げるために最初に取り入れたのが「マインドフルネス」だったそうで、それが集中力の波をコントロールする力に繋がったそうです。私の場合は、トレーダーとしてのメンタル力を上げるために2012年から瞑想の修行を始め(今でも続けています)、トレード成績にも間違いなく寄与していると思っていたのですが、このお話しを読んで、実はメンタルよりも自分をコントロールする力が高まっていたことが寄与していたのか…と納得できました。
  
  
どのノウハウもコストをかけずにできるものになっているので、とりあえず続けられそうなものを3つ選んで、そこから習慣化していくだけでも、十分な効果を発揮することができるのでは…と思いました。集中力で悩まれている方は、読んで損は絶対にないと思いますので、ぜひ一度読まれてみることをお勧めします。
  
  



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ABOUTこの記事をかいた人

角田 和将(Tsunoda Kazumasa)

速読コーチ/ビジネス書著者/認定テクニカルアナリスト(CFTe®)

著書に6ヶ月で10万部を超えるベストセラーとなった「1日が27時間になる!速読ドリル(総合法令出版)」をはじめ、『速読日本一が教える すごい読書術』(ダイヤモンド社)、『出口から考えるFX』(パンローリング)などがある。著者累計は15冊で33万部超え。