youtubeを見ていたときに、たまたま以下のようなCM動画が流れました。
パラパラめくって、たくさん本が読めまくってしまって、本を置く場所がないから売りに来てね、という主旨のCMですが、まさに速読に対する偏見的なイメージを元に作られている典型例のような動画です。
私が速読を始めるキッカケは、2009年後半頃にテレビで速読の特集をやっていたのを見たことでした。
その時に見た映像も、本をパラパラめくっているトレーニングをやっている風景を写しながら、画面の端に「速読」というワードが表示されていました。
その当時テレビを見ていた人は「パラパラめくって、内容がわかってしまう=速読」だという先入観イメージを持っていてもおかしくはありません。
ご参考までに、仮に1日の稼働時間を16時間(=57600秒)として、4000冊を読んでいるとした場合、読む時間は1冊あたり約15秒。1冊あたりの文字数を、少なく見積もって7万文字と仮定すると、読書速度は1分あたり大体28万文字となります。
読書速度を計測したことがある方はもちろん、速読に実際に取り組まれたことがある方ならば、この数字が如何に非現実的な数字であるかということがおわかり頂けると思います。
そもそも、このスピードで読むのだとしたら、目線の動きが明らかにおかしいことに気づいた人もいるかもしれませんねw
イメージ先行で曖昧になっている速読の定義を明確にしてみる
このように、速読は否定寄りに偏ったイメージで理解している人がまだまだ多いです。
それを正すために、著書含めて私なりに誤解を説いていってます。
端的に言ってしまえば、速読とは文字通り「速く読む」ことです。
そしてどのくらい速く読めれば速読なのかというと、「今の自分より速いスピードで読めるようになること」だと私は定義づけています。
たとえば、1行40文字ある本があるとして、1行あたり4秒かけて現状読んでいるとしたときに、1行あたりを3秒で読めるようになったとします。
おそらく「パラパラめくって・・・」を速読だと思っている人からすると、「1行あたり1秒速くなったくらいじゃ、速読じゃないだろう」と思うでしょう。
しかし、仮に1ページあたり15行、1冊200ページあるとしたら、それぞれが1冊を読み終えるまでにかかる時間は以下のようになります。
【1冊を読み終えるまでにかかる時間】
・1行あたり4秒かけて読んでいる人:3時間20分
・1行あたり3秒かけて読んでいる人:2時間30分
1冊単位で考えると、その差は何と50分にもなるのです。
もちろん本によっては、1冊あたりの文字数などの前提条件が変わって、その差が縮まる可能性はありますが、それでもかなりの差が生まれることは感覚的にもお分かり頂けると思います。
1行あたりわずか1秒だけ速くなったところで、自分自身では速く読んでいることに気づけないレベルの進歩かもしれませんが、そのスピードをきちんと維持して読み続けることができれば、1冊あたりでこれだけの差が生まれることになるのです。
50分という時間があれば、事務的な作業や「1日○○分のトレーニング」みたいなものに、十分に取り組むことができるでしょう。
今まで読書に投資していた50分という時間が、別なことに時間投資できるようになる、この価値の大きさに気づけず、かつ「速読=パラパラめくって理解できる=そんなものは不可能」と考えてしまい、自分には関係ないものと思っている人は想像以上に多いような気がします。
速読で比較対象にするのは「達人」ではなく「自分自身」
このように、速読の定義を曖昧なイメージで考えるのではなく、明確に考えることによって、非現実的なものではなくなりますし、活用する感覚が身についてくると、想像を超える大きな力に化けます。
ただテレビをはじめとした動画媒体による映像は、視聴者に対してかなり強くイメージが残る媒体になりますので、こうした動画が出てくる度に、「速読=パラパラめくって理解できる=そんなものは不可能」という思考に陥ってしまう人はどうしても出てきやすくなります。
しかし、速読についていえば、比較対象は現状の自分自身です。
現状の自分自身より速く読めるようになれば、それは速読です。
私が速読を習っていた時、師匠から教室に行く都度、「先週の自分の読書速度より速い記録を必ず出すこと」と言われていました。
「前回の自分の読書速度より速くなった」を繰り返していけば、ある程度トレーニングが進んだところで振り返ってみると、相当な伸び幅になっているのです。
実際、私が通学しているとき、前回記録より下回る数字で教室から帰った日は一度もなく、わずかながらでも必ず記録更新をしてから帰宅していました。
速読ができる人に憧れを持つのは自由ですが、それを比較対象にして取り組むと、挫折する可能性が上がります。
速読に限った話ではないのかもしれませんが、あくまで比較する相手は速読の達人ではなく、自分自身だということを知っておいて頂きたいなあと思います。
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