最速かつ最短で速読習得する条件を考えてみた

速読講師の立場のときに、「どのくらいで速読を習得されたんですか?」という質問をよくいただきます。

私は速読を習い始めてから4ヶ月目で1万文字/分前後の読書速度の記録が出ていたので、大体そのくらいのスピードであれば、十分習得できているレベルと考えています。

ただ私のなかでは、スキル習得にかける期間は「1年」という目安を持っています。

今日はそのあたりも含め、スキル習得に関して私がこだわっているポイントについてまとめておこうと思います。

「できない」と思っているうちは「できない」で終わる

まずスキル習得にあたっての前提に触れておきます。

意外とこの前提が狂っている人を多く見かけるので。。。
  
  
その前提とは、「絶対にできない」と思っている人がそのスキルを習得することは絶対にできないということです。

速読を例にするとわかりやすいのですが、「速読なんか絶対にできない」と言う方は、いつの時代になっても必ず一定数いらっしゃいます。

「絶対にできない」と思っている人は、結局どんな優れたメソッドが提示されたとしても、「できない」理由や否定論しか反射的に考えることができないのです。

実際にその優れたメソッドを実践したとしても、頭の中では「できるはずがない」と思っていたのでは、仮にできそうなコツや感覚が掴めそうになっても、「これは違う」と自らスキルを拒否してしまう状態になってしまいます。
  
  
スキル習得のときに「絶対できる」と思いながら取り組める、強いメンタルをお持ちの方はそれでいいのですが、多くの方はそうではありません。

速読を始める時も、多くの方は「速読なんてできないかもしれないけど、できるかもしれない…」と、半信半疑の思いを持ちながら始める方が大半です。

しかし、この半信半疑くらいに思っている状態がスキル習得を始めるときの感情としてはベストだと私は考えています。

「絶対にできない」ではなく「できるかも…」の気持ちが僅かでもあれば、何か習得のコツやキッカケが見えたときに、それを拒絶することなく、確実にレベルアップしていくことができるからです。

同時に、「絶対できる」と意識しすぎて、絶対にできることしか取り組めていない状態になってしまうと、それはそれで問題となります。

こうした問題も回避できる意味で、半信半疑くらいの気持ちからスタートする位が、ちょうどいいのです。

(あわせてお読みいただきたい記事)
「速読は不可能」と考える人が持っている、イメージ先行で曖昧な速読の定義

スキル習得は長くても短くても“1年間”続ける

「速読できるかも…」の半信半疑なメンタルからスタートすることを前提として、次はどのくらいの期間、スキル習得やトレーニングなどを続けていけばいいのか?
  
  
速読習得で学んだ経験から、「とりあえず長くても短くても1年は続ける」というのが私の考えです。

これは元々、私が速読教室に通い始めたときに、先生から言われた言葉がキッカケでした。

その言葉とは、次のような内容です。

「1年間真剣に取り組んで、本当に何も変化がなかったのだとしたら、それはセンスがなさすぎるので、それ以上何年やっても無駄だから、それ以上続ける必要はない。けれど、本当に1年間真剣にやって、何も変化しなかった人を私はこれまでに見たことがない。結局、できないと言う人はみんな、何だかんだ理由を付けて1年以内で止めてしまっている人しかいない。」

だから必ず1年間は続けなさい、と言われて私は速読教室に通い始めました。

速読は一度習得すれば一生もののスキルだと思っていたので、私は何年かかっても構わないと思ってスタートしましたが、結局は半年かからずして実生活では十分すぎるレベルまで成長し、さらには1年かからずして日本一までなるレベルに到達しました。
  
  
このことは、何も速読に限った話ではないと思っています。

やはり1年間真剣に取り組んで、全く変化がないということは極めて考えにくいですし、仮に全く変化がなかったとしても、本当に真剣に1年間取り組んできたのだとしたら、ターゲットを別の目的に切り替える決断もできるでしょう。

目指すスキル習得によっては、実際に習得できるまでに数年かかるものもあるとは思いますが、1年間真剣にやれば、変化は必ず現れますので、どんな分野でもスキル習得にかける期間は「長くても短くても1年間」なんだろうなあ…と思うのです。

「何を教わるか?」と「誰から教わるか?」

スキル習得のときに私が意識しているポイントとして、「何を教わるか?」より「誰から教わるか?」を重視していることがあります。

これは結構他でもよく言われることなので、既に聞いたことがあると思われるポイントかもしれません。
  
  
ただ最近SNS(特にTwitterかな…?)を見ていて注意が必要だなと思うのが、「何」より「誰」というのは、あくまでも物事を教わるときの話であって、情報収集に関しては別だということです。

「何を言っているか?」より「誰が言っているか?」のほうが重要だという考えが広がっているのをたまに見かけるのですが、これについては誤りだと、私は考えています。

情報を評価する場合は「誰」より「何」を重視すべきで、スキル習得のような指導を受ける場合は「何」より「誰」を重視すべきなのです。これを勘違いしている人は意外に多いと感じています。
  
  
なぜ、「情報を評価する場合は『誰』より『何』を重視すべきか」というと、情報は偏りを持った理解をせず、フラットな目線で評価する事が重要になるからです。

たとえば自己啓発系の本で「行動が大事」と書かれていることは多いですが、これを稲盛和夫さんが言っていても、自分の部下や後輩が言っていても、「行動が大事」という内容そのものは同じなのです。

もちろんその根拠となる具体例に大きな差は生まれるのでしょうが、自分にとって大事なのは「行動が大事」という内容に対して、「自分はどうするか?」というイメージが描けるかどうかです。それが描けなければ、誰が言っていても同じなのです。
  
  
対して、なぜ「指導を受ける場合は『何』より『誰』を重視すべきか」というと、自分の成長に応じて、何が重要になるかが変わるからです。

そもそも「何」にあたる部分が、情報ではなくスキルやメソッドです。

自分の現在レベルに応じて、次のステップアップのために何が必要になるかが変わりますが、次のレベルに行くための観点を、次のレベルに行っていない自分自身で判断することはできないのです。

それを次のレベルを知る経験者の立場から、的確に知るために「誰」が必要になるのです。

極論を言えば、スキルやメソッドについても、本を読めばかなり知ることができます。

ただ、今の自分が身につけるべきレベルのスキルが何かを知るためには、内容そのものよりも、何が必要かをアドバイスしてくれる指導者が必要になるのです。
  
  
話が少し逸れた感じもしますが、この違いを意識せず、何でも「何」より「誰」が大事だと思っていると、インプットする情報に対する理解にまで偏りができてしまう危険性があるので、注意したほうがいいです。

そして、スキル習得においては「何を教わるか?」より「誰から教わるか?」が、その結果に大きな差をもたらすことになるでしょう。



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角田 和将(Tsunoda Kazumasa)
角田 和将(Tsunoda Kazumasa)
速読コーチ/ビジネス書著者/認定テクニカルアナリスト(CFTe®)

著書に6ヶ月で10万部を超えるベストセラーとなった「1日が27時間になる!速読ドリル(総合法令出版)」をはじめ、『速読日本一が教える すごい読書術』(ダイヤモンド社)、『出口から考えるFX』(パンローリング)などがある。著者累計は15冊で33万部超え。
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