「覚えられない…」にメリットがある!?

速読を教えていると、速く読めても覚えられない・・・と悩まれている人と出会う機会があります。

そういう人のほとんどは、そもそも速読は関係なく、純粋に「覚えられない」ので悩んでいる、といった方が正確かもしれません。
  
  
ただいずれにしても、現実として人は忘れる生き物です。

忘れるようにできているという事は、何かしらの理由がそこにはあると思われ、そもそも「覚えられない」事は悩む事ではないと私は考えています。

すべての事を覚えてしまう状態を想像してみると・・・

逆に「見たり聞いたり、経験した事は完璧に全て覚えている」状態になった事をイメージしてみてください。

その時、楽しかった事や嬉しかった事を完璧に覚えているのは良い気分になれると思いますが、同時に嫌だった事やトラウマになってしまいそうな事も完璧に覚えているのです。そしてそれらは決して忘れる事ができない状態です。

PTSDという言葉を聞いた事がある人もいらっしゃるかもしれませんが、これは心理的なショックが忘れられなくなることを意味しています。つまり「忘れる事ができない=完璧に覚えてしまう」力によって、苦しめられてしまう状態ができてしまうのです。
  
  
このように考えると、むしろ忘れる事ができるから日常生活を正常に過ごすことができている、とも考える事ができるので、人は忘れる生き物になっていったのかな・・・と個人的には思っています。

ちなみに、実際にこのような完璧な記憶力を持った方は実在します。それは「サヴァン症候群」と呼ばれる方です。ただこの症候群の方は、例えばコミュニケーションがうまく取れなかったり、計算がとても苦手だったりするケースが非常に多いそうで、結局のところ、総合的な能力という意味で完璧になるという事にはならないようです。

だからといって、忘れすぎるのも問題あり

このように考えていくと、忘れてしまう事自体を悲観する必要はないのですが、忘れる力があまりに強すぎると、それはそれで、また違う問題が生まれてきます。

物事を忘れるのは辛いことを乗り越えるためと考えると、基本的に忘れていく順番は自分に都合の悪いことから忘れていく可能性が高いと考えられます。

つまり、忘れる力が強すぎるということは、自分にとって都合の悪い事が片っ端から記憶消去され、自己肯定しか残らない状態になるということです。
  
  
見方を変えれば、自分を成長させることができない状態。。。

自分は完璧だと思っている人ほど、それ以外の価値観を受け入れようとはしないので、成長の種となる気づきや閃きは生まれなくなってしまうのです。

なので、忘れる事自体は仕方ないと思いつつも、忘れる力が強くなりすぎないようにする意味で、速読や脳トレなどを活用するのは良い事なのかなと思っています。

まとめ

というわけで今回は、「覚えられない」を悲観することはない、という主旨でまとめてみました。

実際、程よく忘れるからこそモチベーションが維持できる、という考え方もできます。

もし一度見て完璧に覚えられるとしたら、たとえば勉強なんかはゲーム的な面白さが全くなくなり、かなり事務的な取り組み作業になってしまう事が想像されます(それもあっさり終わってしまう事務作業・・・)。

例えて言うならば、ロールプレイングゲームをやっていて、使うキャラが最初からレベル99のMAXだとしたら(ドラクエ2で言えば“もょもと“みたいなキャラ)、それはおそらくゲーム的な面白さではなく、ただストーリーを確認するだけで終わるようなものになる、といった感じです(わかる人にしかわからないか・・・^^;)。

もちろん今後、マイクロチップを脳に埋め込むことができるようになって、完璧に情報を記憶しておけるようになったり、googleデータベースが脳に直結するような状態になることには、興味津々な私ではありますが、同時に学ぶ事への興味喚起、感情の部分で問題(?)が出てくる可能性については、少し気にしておいた方が良いのかなと思っています。

いずれにしても今の段階では、人は忘れる生き物だということを前提にしながら覚える事を考える、というのが最短最善ルートなのかなと思います。



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ABOUTこの記事をかいた人

角田 和将(Tsunoda Kazumasa)

速読コーチ/ビジネス書著者/認定テクニカルアナリスト(CFTe®)

著書に6ヶ月で10万部を超えるベストセラーとなった「1日が27時間になる!速読ドリル(総合法令出版)」をはじめ、『速読日本一が教える すごい読書術』(ダイヤモンド社)、『出口から考えるFX』(パンローリング)などがある。著者累計は15冊で33万部超え。