以前たまたまTwitterを見ていたとき、以下の記事を見かけたことがありました。
一生のうちに全ての知識を手に入れることはできないことを理解しよう。 pic.twitter.com/5PZXER4CGM
— 研究しろbot (@kenkyu_shiro) 2017年10月8日
毎日1冊、60年読み続けても、1年に出る新刊点数(ここ最近だと大体年間8万部くらい?)さえ読み切ることができないという現実・・・。
もちろん速読を身につけて、ある程度カバーできる部分はあるにしても、現代は書籍だけではなく、SNSなどの新しいサービスからの情報収集量も増えているので、やはり今後は収集する情報源を選別していくスキルを磨いていく必要があるのかなと思いました。
なので今回は自分にとってのおすすめ本を最短最速で探す方法について、なるべく速読の経験がなくても、読むのが遅いと思っている人でも実践可能な範囲のことを記事にしてみたいと思います。
書評の盲点とレビューの見方
すべての本を選別しきれないとなったとき、書評ブログやキュレーションサービスを活用しようと考える人はとても多いです。
私も「お勧めの本はありませんか?」と聞かれることがあります。
一応その時は、私が好きな本をお伝えするのですが、こうした意見は「その本があなたにとって良書かはわからない」ことを前提として聞く必要があります。
書評ブロガーやAmazonレビュアー1000、Vineメンバーの方が書かれている書評を参考に本を買っている人もいるかもしれませんが、それはあくまでもその方の書評であって、あなたにとっての良書かどうかとは別問題なのです。
書評家の方とあなたの経歴や環境が完全に一致することはありませんので、同じ文章を読んだとしても得られる理解には確実にズレが発生するわけです。
見方を変えれば、本の事を知りたいのではなく、その書評を書いた人の考え方に共感を覚えているだけで、本の内容を元にした書評家の文章を読みたい状態になっているのかもしれません。
そのような状態だと、予め期待する答えを求めながら文章を読もうとしているので、新しい気づきを得ることは難しいでしょう。
このように、いずれにしてもあなたにとっての良書かどうかの判断は、最終的にはあなた自身が書店で立ち読みして、実際に中身を確認する以外に手段はないのです。
書店キュレーションの偏りをなくす
書評レビューには偏りが存在することに触れましたが、書店で置かれる本にも、書店毎に偏り(特徴)があります。
たとえば代官山のTSUTAYAにガチビジネス書を置くよりも、ファッション美容系の本を置いたほうが売れそうなイメージは容易にできると思います。
そもそもリアル書店は、本を置ける場所に限りがある事、新刊点数は100冊単位で入荷してくる事、置く本を決めるのは書店員さんが決めるという事、こういった要素を考えると、書店によって置かれる本には場所的な要因や書店員さんの特徴が必ず現れるのです。
さらに言えば、たとえば本といっても大型書店になると、同じビジネス書の分野でも、金融の本棚とビジネススキルの本棚を管理している書店員さんは異なる場合もあります。
もちろん小さい書店さんだと一人で複数の本棚を管理するケースもありますが、大型の書店になるほど、その担当領域は細分化される傾向にあるのです。
つまり、もしあなたが普段ビジネススキル分野の本をよく読まれる人で、「この書店の選書はイマイチ・・・」と思っていても、金融や専門書の本を探すとなった時には、必ずしもイマイチではない可能性があるという事です。
このような事情から、書店に置かれている本は書店毎に特徴が現れるため、お気に入りの書店は複数持っておき、選ぶ本に偏りがなくなるようにしておくことが理想的です。
気になった本は即買いしたほうがいい
そして書店に行って本を見ているとき、「気になるけど、買おうかどうか悩む…」と思った本は、基本的に買っておいたほうがいいです。特にAmazonなどで電子書籍が出ていない本で、出版社や著者的に今後も電子書籍版の出る可能性が低そうな本は買っておくべきです。
というのも、次に書店に行ったときに、買うかどうか悩んだ本は置いていない可能性のほうが高いからです。
ここ最近、新刊点数は若干減少傾向になりつつあるものの、やはりそれなりに多くの新刊が
日々出てきます。それに対して書店に本を置けるスペースは限りがあり、書店も経営ですので、売れている本は優先して残し、他は棚から撤去され返本されることになるのです。これはAmazonのようなネット書店でも同じで、倉庫のスペース以上の在庫を抱える事はできないので、事情は書店と同じです。
つまり、たまたま書店に行った時に買った本が、翌週に改めて行くと既に返品されていて、もう置いていないということが普通にあり得るわけです。
「また次に行ったときに買えばいいや」と思っていて、実際に次に行ったときにその本がなかったとしたら、そこから取り寄せやAmazonで買おうとするところまでの行動力を発揮できる人はおそらくほとんどいないでしょう。
なので自分にとってピンと来た本は、出会ったときに確保しておかないと二度と会えない可能性が高まるのです。そうならない事を考えると、気になると思った本は気になったときに買っておくほうが機会損失を防げるんじゃないかなと思います。
特に3月のように新刊が多く出る時期と言われているときは入れ替えも激しくなると思われるので、少しでも心に響くものがあった本はとりあえず買っておくほうがいいですね。
情報商材とは違って、何が書いてあるのかを買う前に確認できるので「中身をすべて見た上で必要ない」と判断した本を買おうと思うことはないでしょうし、その上での1冊1000円ちょっとの金額なので、コストパフォーマンスが悪くなることはまず考えられないと思いますので。
本は○○から探す
私は本を探すとき、特に本を出版する前までは、基本的に「差し」と呼ばれる場所から本を探していました。
「差し」とは、書店の本棚に差し込まれ、背表紙が見える状態の陳列方法です。これと対象にある陳列方法が「面陳」とか「平積み」と呼ばれるもので、表紙の部分が見える状態のことです。
一般的には面陳とか平積みのほうが書店に来る人の目に留まりやすいのですが、陳列場所のスペースを多く取るので、売れている本が優先的に面陳されることになります。
ただ私は、本を出版するまでは、むしろ目立ちにくい「差し」の中から本を探していたのです。
なぜそうしていたかというと、面陳になっている本は売れている本なので、みんな内容を知っていたからです。みんな内容を知っている状態だと、自分が読まなくても周りの人から情報がシェアされてきて、その内容をある程度知ることができてしまうと思ったのです。もちろん、偏りのあるアウトプットである前提は考慮しながらシェアされた情報を受け取ることにはなりますが。
さらに、速読で本の選別スピードが上がっていたこともあったので、点数で考えればかなり多くなる「差し」の本であっても、それほど苦を感じず選別できる状態だったこともあり、基本的に「差し」から本を探すようになりました。
ちなみにこれに関する例外が一点あり、それはライターや物書きをしている人についてです。
ただそもそも、情報をインプットしてそのままということはあまりなく、仕事上の書類作成など、何かしらのアウトプット作業も多くの人がやっていると考えると、大半の人が該当するような気もしますが^^;
私自身も、本を出版するようになってから、この選書方法が少し変わりました。
簡単に言えば「面陳」の本もきちんと読むようになったのです。
なぜ私が面陳の本も読むようになったか?それは、売れている本には必ず売れている理由があり、それを知るためです。
基本的に売れ続ける本ほど、読みやすく作られていたり、読者を引きつける表現方法が織り込まれているなど、書き手の立場の観点で必ず何かしら光っているポイントが存在しているのです。
私もこれまでに本を出版してきましたが、これらに対する何かしらの考慮はしてきています(もちろん100%要望を実現できるわけではないですが)。
つまり、読み手だけの立場で考えれば「差し」から探したほうが、自分にとっての良書に出会う確率が上がるのですが、書き手の立場で考えると、世の中に広く受け入れられているベストセラー書を見る価値が自分にとっての良書となる可能性が上がるのです。
実際、ブログ記事などを見ていても、売れている本以外から本を探すことを推奨している記事をちょくちょく見かけますが、ブログ記事はブログをやっている人のほうが積極的に読むことを考えると、ブログをやっている人がその選書をそのまま鵜呑みにすると、ちょっとマズいんじゃないかな・・・と思ったので補足しておきました。
書き手としての気づきや学びを放棄しないように注意したいところですね^^
古本屋に行くメリット
周りの人が読んでいない本を読むことを考えると、古本屋に行くのも一つの手段です。
「誰かわからん人が触ってた本なんか…」とか「きちんと著者に還元するべき」など、古本屋にマイナスイメージを持たれる方もいらっしゃって、そうした考え方も理解はしているつもりでもいるのですが、なぜ古本屋を勧めるのか一言でいうと絶版書を探すためです。
絶版となった本を書店で買うことは基本的にできません。もちろん「売れない」からという理由が絶版になる理由としては一番多いのかなと思いますが、ここで先に書いてあったことを少し思い出してください。
売れている本が必ずしも自分にとっての良書となるわけではない、ということを考えると、絶版になった本でも自分にとっては良書となる本があるかもしれないのです。
さらに言えば、絶版になる理由は売れないという単純なことだけで起こるものではなく、たとえば出版社が倒産すると、良書であったとしても強制的に絶版となってしまい、書店からも引き上げるかたちになるそうです。
こうなると入手する手段は、既に購入した人から買うしかなくなるわけです。
もちろん古本自体はAmazonやヤフオク、メルカリなどで購入する手段もあるのですが、ネット書店の場合、中身を確認できずに購入することとなり、自分にとっての良書かどうかの確認ができません。
だから古本屋という手段が出てくるのです。
書店と違う点をもう一つ挙げると、書店員さんの選書の概念が古本屋にはありません。
「売りたい」と持ってきた本を並べていく流れになるので、置く本を選べない環境にあるのです。そのため古本屋に置かれる本は、地域性のみで特徴が現れます。住宅街にある古本屋だと小説や実用書(料理本とか)が多く置いていて、オフィス街のエリアにある古本屋だとビジネス書が多く置いてある状態になりやすいということです。
ここで注目しておきたいのが、このような大枠での特徴は現れるものの、より詳細に見ていくと特徴はなくなっていくという点です。たとえばビジネス書が多く置いてある古本屋で実際に本を見てみると、統一感なくビジネス書カテゴリの本が並んでいるのです。入荷される本に選択権がないので、入ってくる本を「何となくこの辺かな…」という感じで陳列していくしかないんですね。
これが本を探す上では結構いい環境を作り出していて、普段自分が読まないような本が、ある意味強制的に目に飛び込んでくる状態になります。
普段自分からは読もうと思わないような本に目が行くことで、新しい視点やものの考え方に触れる機会がつくれるようになるのです。これは特にネット検索が一般化した現代では、結構貴重な環境なんじゃないかな…と個人的には思っています。
ずっとネットをやっていると、自分が興味のあることや頭に思い浮かんだことしか調べようとはしないので、良くも悪くも偏った(限定された)世界になりがちです。それを解消する意味で、こうした古本屋の環境は有効ではないかなと思います。
もちろん古本自体に抵抗のある方は、書店に行ったときに普段行かないジャンルの棚があるところを歩いてみて、何気なく何冊か本を手にとって立ち読みすれば、同様の効果が得られると思います。
本は知識を得るためのツールだと思っている人は今でも多くいるような気がしていますが、ネットがある前提での社会では、本は知識を体系化するために使うツールであり、活用方法が変わっていることを知っておくことが、まずは重要なんじゃないかなと思います。
========
【メルマガ登録】
https://mm.jcity.com/Register?u=limix&m=501
※セミナーやイベント開催時の案内などについては、メルマガが最速で発信される場になっておりますので、ご興味ある方は登録しておいていただければと思います。
【プロフィールなど】
・プロフィール
・著書一覧
・お仕事の依頼や講演依頼は
お問い合わせフォームよりご連絡ください。
※日時や場所、依頼主旨など、分かる範囲で構いませんので、なるべく詳細をご記載いただければ幸いに思います。
Follow Me