速読できても、読書は立ち読みでは済ませられない理由

速読関連の講演などをしているときに、「速読ができたら、読書も立ち読みだけで終わってしまいますよね?」と言われることがあります。

しかし、拙著『すごい読書術』をお読みいただいた読者さんならば、あの読書術を立ち読みだけで完結させることは不可能だということは容易に想像できるかと思います。

今日はなぜ速読ができても、読書は立ち読みで済ませることが不可能なのか、その詳細についてブログにまとめてみます。
  
  

そもそも「立ち読み」ってなぜできるの?

そもそも立ち読みは、書店で本の中身を吟味して、自分に合った本、自分に必要な本であることを納得した上で購入してもらう目的です。

内容を習得することを目的としていないので、そもそも立ち読みで読書を済ませようとするのは、モラル面で問題ありなんですね。意外とこの事を知らない方がいらっしゃるので、一応冒頭で触れておきたいと思います。

「立ち読み」ができるおかげで、noteや情報商材のように買うまで中身がわからず、購入自体がギャンブルになることを避けられているのです。
  
  

かつて「立ち読み」で済ませようとしていた理由

そんなことを言っている私ですが、速読を習っていた頃は立ち読みで読書を済ませようとしていた時期がありました。

理由としては2つありました。

まず1点目が、出張時に読む本を持って行くのが重すぎたからです。

当時は出張がとても多く、毎週のように飛行機に乗って移動していたので、少なくとも2冊は持ち歩くようにしていました。

しかし、読むスピードが上がってしまい、2冊なんてすぐに読み終えてしまうようになっていったのです。

読み終えてしまったので、書店に行って、追加で本を買って…を繰り返していると、出張に行くときには2冊持っていた本が、帰るときには10冊以上になっている…ということが起こり始めました。

毎回、帰りの空港で荷物を預ける時に20kgオーバーで「HEAVY」ってタグを付けられるのを見つつ、体力的にも辛かったので、「なるべく購入冊数を最小限に…」と思ったのがキッカケでした。
  
  
そしてもう1点は、当時読んでいた本が高額だったからです。

元々速読を習おうと思ったキッカケは、金融投資系の勉強をするためだったので、当時読んでいた本は基本、パンローリングさんから出ている本でした。

投資系に馴染みのある方ならば大抵の方は知っていると思いますが、パンローリング本は一般的な書籍と異なり、基本値段が高めです。

一般的なビジネス書だと大体1,500円くらいだと思いますが、パンローリング本は3,000円以上の本も珍しくなく、今でも時々読んでいる本の中には20,000円前後する本もあります。

おそらく「良書には良書の価値がある」という考えで、その本に見合った価格設定をしているのだと思われますが、まだ投資の勉強段階だった頃なので、そこまでの金額の本を大量買いできるだけの資金がなかった経緯がありました。
  
  
これらの理由から、何とか立ち読みで済ませようとしていたのですが、結局今の私はというと、立ち読みで読書を済ませることは全くしていません。

というか、立ち読みで済ませようとしていた時期は半年もなかったのではないかと記憶していて、すぐに止めてしまいました。

結局「立ち読み」で読書は済ませられなかった理由

単純に考えれば「速く読めるのだから、立ち読みで読み切れるでしょ」と思われるかもしれません。

確かに、速く読む“だけ”ならば、立ち読みだけでも完結させることはできます。

しかし、立ち読みだけで気づきを得たり、閃きを生み出すことはかなり難しいです。
  
  
もっと言えば、立ち読みするよりも、本を買っておくほうが、金銭的にも時間的にもコストパフォーマンスは高くなるので、立ち読みで済ませようとはしなくなったのです。

すごい読書術』でも触れていますが、人は基本的に忘れる生き物なので、1冊の本を3時間かけて1回読むよりも、1時間で3回読むほうが定着度合いは上がります。

そして3回繰り返し読むとき、少し間隔を空けながら読むと、前に読んだときとは違う部分に目が向いたり、共感できる文章を見つけられることがあり、より深い理解が得られるようになります。

では3回繰り返し読む読書法を実践するとき、立ち読みで済ませようとすると、毎回書店に足を運ぶことになりますが、その労力をかけるのと、数千円のお金を払って、手元に置いておき、いつでも読み返せるようにしておくこと、どちらがコストパフォーマンスは良いでしょうか?

補足すると、書店に足を運んだ際、「前に来たときはあった本がなくなってる…」ということも普通にあるわけで、そのときは無駄足に終わる結末となります。
  
  
こうした時間的なコストと、読書から深い理解を得ること、それぞれを考えると、立ち読みで済ませようと考えるのは、極めてコスパの悪い結果となるのです。

経済的な事情で本を買うのも大変だという意見もあると思いますが、本当に理解を深めたいと思うのであれば、本は買っておくべきです。

幸いなことに書店では立ち読みという行為が許されていて、買う前に中身を把握した上で購入することになり、よく吟味された本なので、「買って損した…」となる可能性は低いからです。
  
  
もちろん、「吟味する本」の冊数を増やす意味で速読を活かすのはいいと思います。

選書した冊数 > 実際に買った冊数 > 処分されずに残り続ける本(自分にとっての名書)の冊数

読書の冊数には上記のような関係があると私は考えています。

立ち読みで「自分にとって必要な本か?」、「自分に合っている本か?」を厳選した冊数を増やしていくことで、いわゆる自分にとっての名書を増やしていくことができます。

なので、立ち読みにおける速読の活用ポイントは、内容を理解する読書ではなく選書(立ち読みの本来の目的)にあるということです。
  
  
~追伸~
youtubeチャンネルでも選書や速読、読書に関する話をしておりますので、よければご視聴ください^^

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ABOUTこの記事をかいた人

角田 和将(Tsunoda Kazumasa)

速読コーチ/ビジネス書著者/認定テクニカルアナリスト(CFTe®)

著書に6ヶ月で10万部を超えるベストセラーとなった「1日が27時間になる!速読ドリル(総合法令出版)」をはじめ、『速読日本一が教える すごい読書術』(ダイヤモンド社)、『出口から考えるFX』(パンローリング)などがある。著者累計は15冊で33万部超え。