脳の働きから考える、何もしない時間や睡眠時間の重要性

「時間のオンオフ」といった言葉がありますが、どちらかというと、オフという時間に対する考え方を多くの人は誤解しているような気がします。

特に睡眠時間や余裕を持った行動を取るために必要な余裕時間に対しては、「何もしていない」時間、非生産的な時間だと思っている人が多いように思います。

過去、システムエンジニアを会社員でやっていたときも、「バッファ時間(余裕を持つための時間)は見積もるな」とよく言われたものです。
  
  
しかしながら、そのような睡眠時間や余裕を持つために確保する時間を削るのは、結果的に生産性を大きく下げることになる、と私は考えています。

今回は「何もしていない時間」の重要性について、記事にまとめてみたいと思います。

睡眠時間=休息時間と考えてしまう人は多い

睡眠時間を削って、たくさん残業をしている事を自慢と思う価値観を持った人は、想像以上に多いです。

おそらく睡眠時間は休んでいる時間だと思っていて、休まずに働く事が美徳と考えているが故に、そうした価値観が生まれるのかなと思います。
  
  
しかし、そもそも論になりますが睡眠時間中は肉体的には確かに休息状態かもしれませんが、睡眠中であっても脳は動き続けています。

脳トレゲームで有名になった東北大学の川島隆太教授の研究グループの調査によると、睡眠時間が長ければ長いほど、「海馬」と呼ばれる部分の灰白質(神経細胞の細胞体が集まっている場所)の量が多くなるそうです。

「海馬」と言われる領域は学習や記憶に関わる部位になり、この領域が睡眠によって影響を受けると、学力にも影響が及ぶ事を意味しています。

別記事で書いた「レミニセンス現象から考える、記憶や暗記に対する速読の活かし方」から考えても、睡眠と記憶には関連性があると思われます。
  
  
つまり、脳の立場から考えると、睡眠時間=休息時間ではなく、睡眠時間=脳の成長時間となるのです。

なので、睡眠時間は休みの時間と考えるのではなく、脳を育てる、脳内情報を整理するといった脳にとっての活動時間だと考えるべきです。

特に昔は体力がモノを言う仕事が多かったのかもしれませんが、現代ではパソコンなどを使って頭を酷使する仕事が増えていることを考えると、睡眠時間と仕事の時間のバランスに意識を向けていくと、生産性を最大化できるのではないかと思っています。

余裕を持たせた時間も含めた作業時間の見積もりを

またスケジュール時間に余裕を持たせる考え方も重要です。

余裕を持たせすぎると、時間を無駄にする可能性が高まりますが、余裕なく分単位でスケジューリングをしてしまうと、1つの作業に遅れが生じてしまっただけで、その後のスケジュールもどんどん倒れていってしまいます。
  
  
たとえば、電車や飛行機の遅延、欠航などのような、どうにも回避できないような事態に巻き込まれたとき、その後のスケジュールはおそらく全て破綻するでしょう。

以前に「時間に対する意識の差」という記事を書きましたが、こんな感じで冷静にいろいろ対応できた根底には、こうした時間管理の感覚があったからなのかな…と思います。

多くの人はどちらかというとスケジュールを詰め込む傾向にあるような気がするので、スケジュールを組むときは、各作業にかかる見積もり時間に対して、前後にプラスアルファで時間の余裕を持たせる方を優先に考えた方がよいのかなと思います。

余裕を持たせる時間は人それぞれ、作業それぞれによって差が出てくるかもしれませんが、たとえば、他の人が関わるスケジュール(プレゼンや会議など)は多めに余裕を持たせておいた方が、その後の作業にも余裕を持って取り組めるのではないかと思います^^

あと移動を伴うようなスケジュールも、遅延などで相手に迷惑をかけるリスクを背負わないようにしておくことで、同じように精神的な余裕を確保でき、仕事自体の質も大きく上がるのではないかと思います。
  
  
そして仮に、何もトラブルなく、スムーズにスケジュールが進んだとして、余裕を持たせている時間に特に何もやることがなかったとして、この時間を無駄だと考える人もいらっしゃるのですが、おそらくその時間は無駄にならないと個人的には考えています。

作業と作業の合間に生まれる時間で、何もやることがない状態になると、まず最初はどんな人でも一段落つくと思います。

この一段落ついたとき、リラックスした状態になると思うのですが、その状態になったときに、新しい閃きが生まれることが多いような気が、経験上するのです。

もちろん、ずっとリラックスしっぱなしだと、こうはならないのかもしれませんが、普段、考えに考え抜いてアイデアを絞り出し、全然アイデアや解決策が出てこない…という状態が続いている中で、ふとそのようなリラックスできる瞬間が来たときには、アイデアが閃きやすくなるのかなと思います。
  
  
余裕を持たせるスケジュール時間を無駄だと思う人もいるかもしれませんが、時間が無駄になるかどうかは、その人の時間の使い方次第です。

そしてその使い方は、何も意識して使っている時間の使い方だけではなく、「何もしない時間」も使い方の一つとして重要なことになる、と考えた方が、脳のパフォーマンスの観点では、よいのかなと思っています^^



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角田 和将(Tsunoda Kazumasa)
角田 和将(Tsunoda Kazumasa)
速読コーチ/ビジネス書著者/認定テクニカルアナリスト(CFTe®)

著書に6ヶ月で10万部を超えるベストセラーとなった「1日が27時間になる!速読ドリル(総合法令出版)」をはじめ、『速読日本一が教える すごい読書術』(ダイヤモンド社)、『出口から考えるFX』(パンローリング)などがある。著者累計は15冊で33万部超え。
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